2つ以上の売上計上基準を用いるのは不合理?!製品ごとに異なる基準があってもOK!?
群馬県太田市のワリとフランクな税理士わくいです。
中小法人、個人事業主の夢と成功を支援する特化型税理士です。
通常、売上の計上基準は1つの基準を採用して、毎期継続適用するのが原則です。
ですが、業種や取引先との関係から、1つの売上基準だけでは、かえって不合理になるケースもあります。
売上の計上基準は必ずしも、全ての棚卸資産につき同一の基準を用いる必要はないのです。
合理的な理由があれば異なる基準でもOK
「1つの法人が2つ以上の売上計上基準を採用するのは不合理なので、基準は一つに統一してください!」
調査官B吉
税務調査で調査官から一方的にこんなことを言われたら、
それって一般論の話でしょうか?
税理士わくい
って答えましょう。
2つ以上の売上計上基準を採用することが不合理かどうかは、個々の会社の実態をみてみないとわかりません。
たしかに、多くの会社にとっては、出荷基準か検収基準のいずれか一方を用いることが合理的かもしれません。
ですが、必ずしも全ての棚卸資産につき同一の売上計上基準を採用する必要はないのです。
例えば、こんなケースを想定してみます。
Z社は測定機器販売業を営んでおり、商品は「出荷基準」で売上計上してきました。
しかし、今期から発売した新製品Xは、測定精度が極めて高く、従来のものと比較して大変デリートなので、得意先に納入後、実際に作動するか確認してもらう必要があります。
価額も従来品よりも高額です。
こういった場合、新製品Xについては「検収基準」で売上計上し、従来品はこれまで通り「出荷基準」で売上計上する方が合理的と判断できます。
収益計上時期は「引渡しがあった日」で判断する
棚卸資産の販売による収益計上時期は、その「引渡しがあった日」の属する事業年度とされています。では、具体的に「引渡しがあった日」っていつになるの?という話です。
この「引渡しがあった日」がいつになるかについては、
- 出荷した日
- 相手が検収した日
- 検針等で販売数量が確定した日
などがあげられます。
一般的には、商品や製品を出荷した日に収益を計上する「出荷基準」、又は相手方が商品や製品を検収した日に収益を計上する「検収基準」を用いることが多いでしょう。
このあたりは、得意先がどういった基準を用いているかによって、自社の基準にも影響する場合があります。
先の事例にもあったように、法人が販売する棚卸資産の全てについて、同一の売上計上基準を採用する必要は必ずしもありません。
法人が適用する売上計上基準は、それぞれの棚卸資産の種類、性質、販売契約の内容に応じた合理的な基準を採用すればOKなのです。合理的な理由があれば、1法人で2以上の異なった売上計上基準を採用しても差し支えないのです。
一度選択した計上基準は毎期継続適用する
ただし、いったん法人が選択した計上基準は、その後、毎期継続して適用する必要があります。
利益調整のために、自社の都合でコロコロ売上計上基準を変更することは認められないのです。
売上の計上基準だけでなく、会計・税務上の取引においては、いったん採用した基準は毎期継続して適用する、というのが原則となります。
なお、「引渡しがあった日」の判定については、その棚卸資産が土地や建物などであり、かつ、その引渡し日が明らかでない場合には、次のいずれか早い日に、その引渡しがあったものとすることができます。
- 代金の相当部分(おおむね50%)をもらった日
- 所有権移転登記の申請の日
これまで継続していた基準を、何らかの理由で変更しようと思うときは、自社で判断せず、一度税理士などの専門家に相談することをオススメします。
税理士わくい
まとめ
法人が適用する売上計上基準は、それぞれの棚卸資産の種類、性質、販売契約の内容に応じた合理的な基準を採用すればOKです。
法人が販売する棚卸資産の全てについて、同一の売上計上基準を採用する必要は必ずしもありません。
ただし、いったん法人が選択した計上基準は、その後、毎期継続して適用する必要があるので注意が必要です。
利益調整のために、売上計上基準を変更することだけはやめておきましょう。
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