小規模事業者の棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法で経理効率化!
期末が近づくと、そろそろ意識し始めることの一つが「商品の棚卸し」。
今年開業したばかりで、これから初めて棚卸しをする場合、商品の単価はどの金額を使ったらいいのか悩むこともあります。
その場合、何種類かある棚卸資産の評価方法のうち、最終仕入原価法で期末棚卸の計算をすれば、簡便で事務の効率化にもなります。
棚卸資産の評価方法の種類
棚卸資産の評価方法については次の方法が認められています。
(1)原価法
- 個別法
- 先入先出法
- 総平均法
- 移動平均法
- 最終仕入原価法
- 売価還元法
(2)低価法
(3)税務署長の承認を受けた特別な評価方法
小規模事業なら最終仕入原価法
上記のうち、(1)6の最終仕入原価法は、計算方法が簡便なこともあり、比較的小規模な事業者や会社が評価方法として用いています。
最終仕入原価法は、期末棚卸資産を商品や材料など、種類の異なるごとに区分して、事業年度終了時に最も近い時期に取得したものの単価を採用します。
その名のとおり、最終で仕入れた単価を、期末棚卸数量の1単位当たりの取得価額として期末棚卸額を求める方法です。
最終仕入原価法は請求書から単価をみる
具体的には、一番期末に近い日付の請求書の内訳をみて、請求書に記載されている単価を採用します。
最終的な請求書から、それぞれの種類ごとに単価をピックアップします。
あとはシッカリ数量を数えて掛け算をして期末棚卸額を算出するだけです。これで、税務調査で棚卸の問題が発生することはありません。
このように、最終仕入原価法は計算方法が簡単であり、商品などの受払記録を必要としないため、比較的小規模な事業者や会社が採用しています。
また、法人が棚卸資産について評価の方法を選択しなかった場合は、最終仕入原価法により期末棚卸資産を評価することとされています。
最終仕入と前の仕入と単価差異があった場合
最終仕入原価法は計算方法が簡便である一方、期末棚卸額の正確な計算という点で問題点があります。
それは、最終仕入の直前の仕入後から、仕入単価の改定があった場合です。
例えば、これまで仕入単価がほぼ一定だったけど、景気の動向によっては、期末直前に仕入単価が大幅に下がることも考えられます。
期末在庫商品のほとんどが単価改定前に高く仕入れた商品で、期末直前に仕入れた安い単価の商品は少量だった場合の最終仕入原価法の計算はどう考えればいいかです。
この場合、期末在庫商品すべてに改定後の安い単価を乗じて期末棚卸額を算定するのは不合理のようにも思えます。
では、期末数量を単価改定前と改定後の分に区分して、それぞれの単価を乗じて期末棚卸額を算定すべきなのでしょうか。
答えは「ノー!」です。
税理士わくい
改定前の単価で仕入れた商品であっても、すべて改定後の単価で期末棚卸額を計算します。
確かに、このようなケースの場合の計算では、期末棚卸額の正確な計算という観点からみれば問題があり、合理的とはいえません。
ですが、最終仕入原価法は一種の割り切り計算です。
税務上は、「そこはまぁ割り切って、計算の簡便性を優先させましょう」といった感じで認められているものです。
安心して、期末直前の単価で期末棚卸額を算定しましょう。
まとめ
最終仕入原価法は期末棚卸額を算定する評価方法としては簡便で、比較的小規模な事業者や会社にオススメの方法です。
また、単価の変動があったとしても、最終的に仕入れた単価が採用されます。
ですが、期末棚卸額を減少させるために、つまり売上原価を多くするために、仕入先と交渉して期末直前の単価を意図的に低くすることはNGです。
利益調整につながることになり、認められませんので注意しましょう。
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群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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