売上1,000万円以下の個人事業主にも税務調査は入る!修正申告は所得税だけでなく事業税・住民税・国民健康保険税への影響も大きい!
群馬県太田市のワリとフランクな税理士わくいです。
昨日、2年前に税務調査が入り修正申告をしたという個人事業主Aさんから、確定申告書をチェックしてほしいという電話を頂きました。
なんでも昨年チェックを依頼した税理士に今年も頼もうとしたところ、申告書の作成が申告期限ギリギリ過ぎてあからさまに嫌がられたとのこと。
困り果ててググったところ、「税理士わくい」がヒットし、即TELへと至ったそうです。
駆け込み寺のような涌井税理士事務所ですが、気軽にご連絡頂けるのは嬉しいことです。
そんなAさんですが、開業して7年、売上1,000万円以下にも関わらず、2年前に税務調査が入りトータル100万円の税金を追加で支払ったそうです。
「100万円ってめっちゃ多いじゃん!」
と思われたかもしれませんが、案外ちょっとの修正でも追加100万円の税金は簡単にかかってしまうものなんです。
売上が少ない個人事業主でも税務調査が入る理由
その情報、完全に誤りです!
税理士わくい
売上が少なくても、個人事業主でも税務調査は入ります。
たしかに、法人であったり、同じ個人事業主でも売上や所得が多い方が税務調査は入りやすいのは間違いありません。
ですが、税理士業をしていると、
売上が少ない個人事業主から、
「税務調査が入るんだけどどうしたらいいですか?」
起業家さや
というご相談を頂くことは少なくありません。
では、売上が少ないのに税務調査に入られる個人事業主にはどういった傾向があるのでしょうか。
私がご相談を受けた経験上、次のようなパターンがあります。
- 建設、飲食業など現金商売
- 同業と比較して利益率が異常に低い
(売上が少ない、原価が多い) - 交際費など特定項目が異常に多い
- 貸借対照表が明らかに間違っている
(前期末と当期期首の数字が合っていない) - 前年と比較して売上又は経費が極端に変動している
- 所得が低いのに不動産をキャッシュで購入している
- 保険収入があるのに申告していない
- 株、FX、仮想通貨取引をしているのに申告していない
- 取引先に税務調査が入って反面調査でバレた
上記のケースに当てはまる場合は、売上1,000万円以下の個人事業主でも税務調査に入られるリスクは高まります。
100万円超の追加税金が簡単に発生する理由
税務調査で何か言われたら払えばいいや!
起業家B吉
そんな考えを持っているあなた、
はい、「アウッッー!(ト)」です。
税理士わくい
税務調査が入ると、基本的に過去3年分の確定申告について調査されます。
悪質と判断されれば5年分調査することもあります。
しっかり帳簿を付けていれば、
「是認!(ぜにん!)」
調査官
「コレ認める!」「あなた素晴らしい!」と調査官から褒められて終わりです。
もちろん、追加で税金を払うことはありません。
ですが、税理士が関与していない個人事業主の場合は、修正が何もないというケースの方が圧倒的に少ないのが現実です。
過去に申告した所得が本来よりも少なければ「修正申告」をして、過去3年分の追加の所得税+延滞税や過少申告加算税などのペナルティを払うことになります。
そして、追加で払う税金は所得税だけにとどまりません。
修正申告をした場合、追加で払う税金は他にもあります。
- 所得税
- 事業税
- 住民税
- 国民健康保険税
修正申告により本来の所得が増えれば、3年分の増えた分の所得税、事業税、住民税、国保税を追加で払うことになります。
これらの税金を3年遡れば、簡単に100万円の追加税金がかかってしまうカラクリがここにあるのです。
修正申告した場合の税金インパクト
実際に修正申告した場合に、どれくらいの追加税金がかかるか試算してみます。
あくまでも概算計算となりますが、インパクトの大きさは理解してもらえると思います。
修正申告の結果、次の課税所得が出たと仮定します。
- 3年前分…修正申告500万円(当初400万円)
- 2年前分…修正申告500万円(当初400万円)
- 1年前分…修正申告500万円(当初400万円)
3年分の修正申告をした結果、各年当初申告よりも100万円課税所得が増えました。
この増えた分の所得をもとに追加の税金を計算してみます。
所得税
修正申告分である課税所得500万円の所得税率は(20%-427,500円)です。
当初分400万円も同じ税率なので、修正分から当初分を差し引いた分が1年分の追加所得税となります。
このケースの場合は追加で払う所得税は年20万円(=57.25万円-37.25万円)、3年で60万円となります。
所得税の場合、基本的に追加で払う分は修正申告のタイミングで支払うことになります。
なお、延滞税や過少申告加算税、復興特別所得税などは別途加算されます。
事業税
事業税は青色申告特別控除前所得から基礎控除290万円を差し引いた金額が課税所得となります。
このケースの場合は、当初申告時にこれらの計算がすでにされて事業税を支払っているケースとなります。
そして、追加の課税所得100万円に、ここでは一般的な事業税率5%をかけます。
このケースの場合は追加で払う事業税は3年で15万円となります。
事業税は青色申告特別控除前所得が290万円以下なら発生しないので、290万円を超えたら支払うことになります。
住民税
住民税の税率はお住いの市区町村により異なりますが、所得割は多くの場合10%に設定されています。
このケースの場合は追加で払う住民税は3年で30万円となります。
なお、太田市の住民税の納付のタイミングは6月、8月、10月、1月に設定されています。
直近の住民税の納付については、修正申告が3月、4月頃までであれば、通常通り6月に納税通知書が届き、年4回払いが可能となります。
2年前、3年前分の修正申告については、原則一括払いとなります。
交渉次第で分割納付も可能なので、資金繰りが厳しい方は住民税担当の職員と分割納付の相談をしてください。
国民健康保険税
意外と忘れがちなのが国民健康保険税です。
国保税も修正申告の影響を受けます。
群馬県太田市の場合、所得に対して払う国保税率は11.1%となります。
内訳は医療保険分7.5%、後期高齢者支援分2.0%、介護保険分1.6%(40~65才未満)です。
このケースの場合は追加で払う国民健康保険税は33.3万円となります。
国保税も一括納付が厳しい場合は、市区町村の担当者に分割納付の相談をしてください。
ちなみに国保税の所得控除は、基礎控除33万円しか使えません。
つまり、医療費控除や社会保険料控除といった所得控除が使えません。
土地や株式の売却益といった分離課税の所得が出た場合の打撃が大きいのが、所得税や住民税との大きな違いです。
税理士わくい
修正申告で影響する税金をまとめると
このケースの場合の所得税、事業税、住民税、国保税の追加税金は、まとめると次のようになります。
- 所得税…60万円
- 事業税…15万円
- 住民税…30万円
- 国民健康保険税…33万円
これらを合計すると138万円となります。
今回のケースの場合、各年100万円所得が増えることで、ざっくり3年で138万円超の税金インパクトが生じてしまうのです。
これに延滞税、過小申告加算税、などの加算税がかかってきます。
これがもし100万円ではなく、200万円、300万円の所得漏れがあったと考えると。。。
もし消費税の課税事業者だったと考えると。。。
おッ!恐ろしい!
ムー係長
税務調査で所得漏れがわかり、修正申告した場合の追加税金インパクトをご理解いただけたかと思います。
まさに税金ディープインパクトですね!
にゅーみ
まとめ
売上モレ、経費過剰、所得控除間違え、FXや仮想通貨の申告忘れなどある場合は税務調査が入る頻度が高まります。
マークされた個人事業主や会社は2,3年に一回のペースで税務調査が入ることもあります。
これはまずいな。。
起業家B吉
と心当たりのある方は、税務調査が入る前に自主申告することをオススメします。
傷は浅いうちに対処!
これ鉄則です!
税理士わくい
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今日もご覧いただきありがとうございました。
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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