源泉所得税の「納期の特例」を適用中でも毎月納付してOK!
源泉所得税の「納期の特例」を受ければ、毎月納付を半年分まとめて年2回納付にすることができます。
ですが、いざ年2回納付にすると納付期限を忘れたり、半年分まとめて支払うと金額が多くなって資金的に厳しくなる場合があります。
そんな時は、納期の特例の適用中であっても、毎月納付しても問題ありません。
「納期の特例」は便利なようで以外に便利でない?
源泉所得税の納付期限は、原則として給料等を支払った月の翌月10日までとなっています。
「納期の特例」の申請書を提出して適用を受けると、納期限を毎月納付から年2回納付にすることができます。 従業員が常時9人以下の事業所が対象となりますが、これによって事務負担が軽減されるというわけです。中小企業の事務負担を考慮して作られた特例ですが、実際に適用してみると、逆に負担が大きくなるケースもあるのです。
理由は主に2つあります。
- 半年に1度の納付なので納期限を忘れがちになる
- 支払う金額が多いと、資金不足時は納付がきつくなる
毎月納付が年2回納付になるのだから、手間がかからなくていいわけなのですが、事業所の状況によっては逆に精神的負担・資金的負担にもなり得る特例なのです。
なので、納期の特例の対象であっても、あえて納期の特例を申請しなかったり、納期の特例を取りやめて毎月納付にしたいという会社もあります。
実は納期の特例適用中でも毎月納付してOK
源泉所得税の納期の特例の適用を受けると、毎月10日納付を7月10日と1月20日の年2回納付にすることができます。
実は、納期の特例の納付期限は、あくまでも納付期限であって、7月10日直前と1月20日直前に、それぞれまとめて納付しなければいけない、というわけではありません。あくまでも納付期限が定められているだけなんです。
必ずしも2回にわけて納付しなくてはいけないというものではないのです。
ですので、納期の特例を出しておきながら毎月納付にしても大丈夫ですし、2ヶ月毎に納付してもいいのです。
資金的に余裕がある時点で納付すればよく、最終的な納付期限さえ守ればOKなのです。
確実に毎月納付にするなら取りやめの届出を出す
給与等の支払人員が常時9人以下で、納期の特例を適用している。
だけど、あえて特例を受けるのをやめて毎月納付することを決断した場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出」を提出しましょう。
要件が該当しなくなったわけではなく、あえて特例をやめるのですが、この際届出書の名称は気にせず突き進みましょう。
考えるだけ労力が無駄です。
税理士わくい
この取りやめの届出書を提出することで、納期の特例を受けながら毎月納付する時とは異なり、確実に毎月納付することを税務署にコミットするわけです。
一応、納期の特例の納付書と毎月納付の納付書は異なりますので、税務署に届出を提出して毎月納付用の納付書を送ってもらった方がいいでしょう。
▶参考:国税庁HP「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出」
給与支給人員が10人以上なら毎月納付する
源泉所得税の納期の特例を受けていて、給与を支給している従業員が常時10人以上になった場合は、納期の特例の適用を受けられないことになります。
その場合も、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出」を提出しましょう。
これを提出すれば、税務署が毎月納付用の納付書をゴソッっと送ってくれます。
事業所によっては従業員が10人をいったりきたりする場合もあります。
そんな場合はどうするか?
と心配される方もいるでしょうが、常時10人以上なので、細かいところは税務署も厳しく突っ込んでこないのが実情です。
もし税務署から何か突っ込まれたら、そのタイミングで納期の特例をやめる届出書を出せば大丈夫です。
その場合、遡って不納付加算税や延滞税がかかることはありません。
翌月分から毎月納付にしていけば大丈夫ですので、大きな声では言えませんが、微妙なラインならあまり気にする必要はありません。
それよりも、納付期限はしっかり守る方が重要です。
まとめ
「源泉所得税の納期の特例」は中小企業の事務負担を軽減するための特例です。
場合によっては、逆に精神的・資金的負担がかかる特例でもあります。
税理士に言われたから、納期の特例を提出するのではなく、納付にかかる物理的負担よりも、半年に1度の納付することの精神的・資金的負担を考慮して、「納期の特例」は検討しましょう。
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群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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