借入金返済は経費にできる、は誤解。利息部分のみOK!
「借入金の返済って経費にできるんですよね?」
この質問は正解でもありますが、私の経験上大抵の場合は大きな誤解をしています。
残念ながら借入金の返済分が、まるまる経費にできるわけでないのです。
借入金は借りたものを返しているだけ
「借入金の返済は事業に必要な支出なんだから経費にしていいんでしょ?」
起業家B吉
長年経営をされている経営者の方でも、このような質問を時々されることがあります。
結論からいうと、借入金の元本部分は事業の必要経費にできません。銀行から借りたお金をただ返しただけなんです。
「えっー!マジで!」
インターンけろ吉
中には、それでも中々納得できない方もいらっしゃるのですが、本当に借りたものをただ返しているだけなんで経費にできないんです、としかいいようがないのです。。
逆に銀行からお金を借りて、お金が自社の通帳に振り込まれても売上計上はしません。
仮に利息が付かずに、銀行から500万円借りて500万円返したら、ただ単にお金が行って来いしてるだけですね。
ただし、銀行に支払った全額が経費にできない、というわけではありません。
利息部分は経費にできる
銀行の借入金を返済する時は、決まった期日に通帳から返済額が引かれます。
引かれた全額が経費にできないわけではありません。
返済した金額のうち、利息部分のみ事業の必要経費にできます。
うーん、ちょっと、ややこしいかもしれません。
返済する側からすると似たようなものですが、実際は似て非なるものなのです。
なぜなら、銀行に支払った利息は、銀行側からすると売上になるのです。
元本部分を返済しても銀行側の売上には影響しません。
銀行の売上、というとちょっとピンとこないかもしれませんが、私達が支払った支払利息が、銀行員の方達の給料にもなっているわけです。
かつては、私も皆さんの支払利息の恩恵を受けていた立場でした。
その節は、ありがとうございました。
(元金融機関勤務)
税理士わくい
返済予定表をみて利息部分を経費にする
実際に会計ソフトに入力する時も、借入金の元本部分は借入金返済、利息部分は支払利息として経費にします。
支払利息5 / 普通預金5
という感じで仕訳します。
通帳から借入金の返済が引かれる際に、上記の仕訳のように、元本部分と利息部分が分かれて印字されている場合はわかりやすいですね。
ただ、金融機関によっては、元本部分と利息部分を合わせた総額で、ドン!っと通帳から引かれる場合もあります。
その場合は、支払総額から利息部分を抜き出す作業をする必要があります。
回数 | 支払額 | 元金 | 利息 | 残高 |
1 | 18,332 | 16,666 | 1,666 | 983,334 |
2 | 18,304 | 16,666 | 1,638 | 966,668 |
3 | 18,277 | 16,666 | 1,611 | 950,002 |
4 | 18,249 | 16,666 | 1,583 | 933,336 |
5 | 18,221 | 16,666 | 1,555 | 916,670 |
仮に、支払い1回目の18,332円が通帳から引かれていたら、元金16,666円と利息1,666円を分けて会計ソフトに入力することになります。
ひと手間かかりますが、経費にできる金額が変わってしまうので、必ず返済予定表はチェックしましょう。
借入金残高が合っているかも必ずチェックしましょう!
税理士わくい
預かっているお金も経費にならない
預かっているお金を払っただけ、という場合も、その支出は経費にできません。
例えば、
- 敷金や保証金
- 従業員の源泉所得税
- 従業員の住民税
などです。
他にも、お金を払ったけど商品が届くのが翌期になる、という場合も今期の経費にはできません。
ひとまず、前払金として資産計上します。
翌期に商品が届けば、翌期の経費になります。
モノやサービスの提供を受けるタイミングによって、経費になるタイミングも変わってくるので、両者のタイミングがズレる場合は注意が必要です。
まとめ
借入金の返済は元本部分は経費にできないけど、利息部分は経費にできます。
事業をしていると、事業に関連して支払ったものは、とにかく経費にしようと思う人もいます。
気持ちはわからないでもないですが、経費になるもの、ならないものを理解しておかないと、後々痛い税金ペナルティを税務署から受ける可能性が高くなります。
面倒でも、経費にできない基本的な支出はおさえておきましょう。
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群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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