〔個人事業主〕税理士が領収書の簡単な整理方法を具体的な手順を交えて教えます!
開業したばかりの起業家から、こんな質問をよく受けます。
「領収書の整理ってどうすればいいの?」
経理の経験がある方や、過去に税理士と顧問契約があった方は、領収書をノートやスクラップブックに貼りつけて整理をしなくてはいけないと思っている人もいます。
ですが、これは絶対ではありません。
自分で経理や帳簿記帳をしている人は、もっと簡単な方法がありますので流れを見ていきましょう。
何はともあれ最低7年間保存する
領収書の整理の話の前に、まず前提としてお伝えしておかなければならないことがあります。
それは、支払ったものを事業の必要経費にするにはレシートや領収書を証拠書類として保存しておかなければならない義務があるということです。
税務調査が入った場合は、証拠書類がない支出は経費として認められません。
また、レシートや領収書については、個人・法人問わず最低7年間(場合によっては10年間)の保存義務があります。
厳密にいうと、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存となります。
具体的な例でいうと、平成29年分のレシート類は平成37年3月15日までとなります。
平成30年1月1日~平成36年12月31日までの7年間が保存期間ではないので注意が必要です。
さらに、税制改正により、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長され、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。
つまり、青色申告をしている人で赤字が出る年があれば10年間の保存が必要となります。青色申告で所得が黒字と赤字をいったりきたりしていると、領収書の保存期間の管理が複雑になります。
なので、難しいことは抜きにして、領収書の保存期間の管理が面倒だし、安全策を取りたい、と考えるなら、初めから10年間の保存としておけば間違いはないでしょう。
個人事業主の領収書整理をシンプルにする方法
領収書やレシートは、ノートやスクラップブックに綺麗に貼りつけて整理をする必要はありません。
では、実際に個人事業主である私の整理方法を見てきましょう。
私の場合、会計ソフトに未入力のレシートや領収書は、まずクリアファイルに一旦入れておきます。
会計ソフトに入力したら、同じレシートを二度打ちすることのないよう赤ペンで金額にチェックを入れます。
こんな感じで。
赤ペンチェックは必須ではありませんが、二重仕訳防止策に加え税務調査での印象がよくなることがあります(調査官にもよりますが)。
会計ソフトに入力済のレシートは、「〇年〇月分」と記載した月別の封筒に入れて終了です。
ちなみに、私の場合は、個人的にバラけているのが嫌なのと月締めの意味で、レシートをまとめて左上にホチキスします。
基本的に誰かがチェックをしない限り領収書を見返すことはしませんが、資料がゴチャゴチャになるのが嫌な方はホチキスするのもアリです。
面倒な方は、ホチキスせずに、会計ソフトに入力したら順次月別封筒に入れていきましょう。
月別封筒にレシートや領収書を入れたら、最後に「〇年分」と記載した年度別の封筒(1月~12月分の月別封筒が入る大きさ)に入れて完了です。
確定申告が完了したら、他の帳簿類と一緒にダンボールに入れて保存しておきましょう。
ノートに貼りつけた方がいいケース
ここまで、個人事業主が簡単で手間がかからない領収書の整理方法をみてきました。
では、これまで王道とされてきたスクラップブックやノートにレシートを貼りつけて保存する方法は無意味なのか?という疑問が生じます。
スクラップブックやノートを活用して整理するのには、主に2つの意味があります。
- 領収書をチェックする人が別にいる
- 税務調査時に調査官がチェックしやすい
1.領収書をチェックする人が別にいる
例えば、
- 社内2人態勢で会計入力と入力チェックをしている
- 税理士事務所に記帳代行や入力チェックをしてもらう
といった場合は、状況に応じてノートやスクラップブックに貼りつけるケースもあります。
領収書を税理士事務所に丸投げして記帳代行してもらう場合は、バラけていると領収書を紛失するリスクもありますし、税理士事務所側も整理されていないと記帳代行を請け負いません、ということもあります。
このあたりはケースバイケースなので、内部の経理担当や税理士事務所と話し合って、一番スムーズで安全性の高い整理方法を決めましょう。
2.税務調査時に調査官がチェックしやすい
「調査官がチェックしやすい状況をお膳立てする必要はない!」
という税理士もいますし、
「印象を良くするためにチェックしやすいようにしたほうがいい!」
という税理士もいます。
程度にもよりますが、乱雑よりかは、多少は整理しておいた方がいいのは確かです。
逆の立場だったら、「こんなに資料が乱雑ということは経理ミスも結構あるんじゃないか」、と考えるでしょう。
また、チェックがしづらい状況だと、税務調査の期間も予定より延長される可能性もあります。
スクラップブックに貼りつけるまでしないにしても、領収書をホチキスして封筒に入れておけば、さほど印象の良し悪しは変わらないでしょう。
まとめ
領収書の整理は、
- 月別に封筒に入れる
- 保存期間は7年
(安全策は10年) - プライベートのものは入れない
というポイントを押さえておけばOKです。
個人事業主が自ら経理する場合は、領収書の整理だけでも本業の足かせになります。
経理効率化を一つ一つ図って業務効率化につなげていきましょう。
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群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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