個人事業者が法人成りを検討する場合の流れを解説!
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔です。
これまで個人で事業をしてきて、仕事が順調になってきたから、そろそろ会社を設立しようかなと考える方も多いかと思います。
個人事業者が会社を設立して事業を行う場合のメリットとデメリットを解説していきます。
法人成り検討の流れ
ポイント(思考経路)
経営上の観点 | 一般的に個人より会社の方がイメージが良い。また、会計が明確化・厳格化される等の傾向がある。そのため、融資を受けやすい傾向があるが、審査上は会社の財務内容や業績、将来性が重要。 |
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税務上の観点 | 役員報酬、経営者家族への給与、退職金についてメリットがある。一方、赤字でも住民税の均等割負担がある等のデメリットがある。 |
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設立コストも確認 | 会社設立時、毎期の維持費も確認する。 |
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総合的に判断 | どれか一つでなく、上記を総合的に判断して法人成りを決定する。 |
経営上のメリット・デメリット
法人成りには、一般的に下記のような経営上のメリットがあります。
- 企業イメージが高まる
- 会計が明確化され、経営分析がしやすい
- 融資を受けやすい
- 引退等に伴う事業承継の場合、生前の株式譲渡と役員交代手続で済む
「③融資を受けやすい」は、会社の財務内容や業績、今後の見込み等について健全性や将来性があるということが審査の基本となっています。 なので個人より企業イメージが高いから簡単に融資が受けられるというわけではありません。
また、中小企業の多くはオーナー社長であることから、会社代表者の個人保証を求められる場合があります。
結果的に、連帯保証人が社長個人となれば、実態は個人借入と変わらないこともあるので注意が必要です。
経営上の観点からみたデメリットといえば、会社法、税法上の規制が個人よりも厳しいので、様々な手続き書類があったり、会計書類・税務書類が厳格で煩雑になる傾向があります。
税務上のメリット・デメリット
代表的な税務上のメリットは下記のとおりです。
- 法人は役員報酬を損金に算入でき、役員報酬は給与所得控除額を引いた残額が税金の対象になる(法税34①)
- 親族が従業員として働く場合、適正な労働対価であれば給与全額を損金に算入することができる(法税36)
ただし、役員の場合は一定の制限がある(法税34) - 経営者と生計を一にする親族が給与を受け取る場合、所得要件の範囲内で配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除を受けることができる(所税83~84)
- 経営者と生計を一にする親族従業員に支払う退職金は、適正な金額であれば損金に算入することができる(法税36)
ただし、役員の場合は一定の制限がある(法税34) - 経営者を被保険者とする生命保険の保険料は、一定の要件を満たす場合に損金に算入することができる
- 青色申告の場合、事業上生じた欠損金を9年間繰越しできる(法税57)
- 消費税が2年間免税になる(例外あり)
やはり、税務上のメリットというのは結構大きいものがあります。
役員報酬、生命保険の損金算入、欠損金の繰越控除が9年間、消費税免税2年間が特に代表的です。
他方、税務上のデメリットとしては、次のものがあります。
- 交際費は、原則として損金に算入されない。ただし、資本金1億円以下の中小企業の場合は800万円まで損金算入できる
- 赤字の場合でも、資本全等の額や従業員数に応じて、最低7方円の法人住民税の均等割が課税される
デメリットとして一応書きましたが、多くの中小企業からみれば交際費の部分はデメリットとして考えなくて大丈夫です。
800万円まで交際費を使う企業はごく少数かと思います。
法人成りのコスト
会社設立時の費用 (登録免評説、定款認証手数料等)に加え、設立後も株式会社の場合には定期的に役員変更登記をするため、登録免訴税等の登記費用がかかります。また、個人事業者の場合、従業員数が5名未満の場合には社会保険に加入する義務はありませんが、法人の場合には従業員数に関わりなく社会保険への加入が義務づけられており、社会保険料を負担しなければなりません。
会社の決算や税務申告は個人事業と比べて煩雑であり、税理士に決算書作成依頼するケースが比較的多いです。
そのため、会社の規模や業務の煩雑さに応じて毎期ランニングコストが発生します。
税理士報酬はいくらかかるか見積もりを取ってみることをオススメします。
法人成りの目安
売上や節税の基準で考えると、売上高1,000万円、所得500万円~800万円で法人成りするケースが比較的多いかと思います。
企業イメージなどブランディング戦略で法人成りを考える場合は、売上基準に該当しなくても法人成りする場合もあります。
中には売上が億を超えていたり、所得税が最高税率でも法人成りしない方もいます。
家庭環境や個人の価値観など様々な考え方がありますので、必ずしも売上や節税だけで法人成りをするものではありません。
収入状況や今後の売上見込み、事業展開、従業員は増やしていくのか、自分は何を重視しているのか、等を総合的に考えながら法人成りを検討していきましょう。
まとめ
ポイント(思考経路)
経営上の観点 | 一般的に個人より会社の方がイメージが良い。また、会計が明確化・厳格化される等の傾向がある。そのため、融資を受けやすい傾向があるが、審査上は会社の税務内容や業績、将来性が重要。 |
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税務上の観点 | 役員報酬、経営者家族への給与、退職金についてメリットがある。一方、赤字でも住民税の均等割負担がある等のデメリットがある。 |
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設立コストも確認 | 会社設立時、毎期の維持費も確認する。 |
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総合的に判断 | どれか一つでなく、上記を総合的に判断して法人成りを決定する。 |
節税は現在の収入や所得だけで考えず、今後の見込みも視野にいれつつシュミレーションすることが大事です。
まずは、シュミレーションして今後の展開も考えてみましょう。
税理士 涌井大輔事務所は夢を持って創業される経営者様を応援しています!
今日もご覧いただきありがとうございました。
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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