役員や従業員に対する精算不要の渡切交際費は接待交際費ではなく給与扱いになる!
役員の交際費支出を抑制するために、毎月一定額を各役員に支給し、その範囲で交際費を支出するように決めている会社もあります。
この場合、支出の内容を会社に報告しなくてもよかったり、余剰金が生じても会社に返還しなくてもいいことになっている場合は注意が必要です。
この役員に対する支出は接待交際費ではなく給与扱いになります。
渡切交際費は給与扱いになる
交際費の使い道の報告を必要としなかったり、精算不要の金銭の支給を役員や従業員にすることを、いわゆる渡切交際費の支給といいます。
渡切交際費は交際費として使う名目であっても、税務上は接待交際費として計上することはできません。
実際に接待交際費として使っていたとしても、残念ながら接待交際費にはできないのです。
役員や従業員に対する給与として計上する必要があります。もし、接待交際費ではなく給与課税されてしまうと、給与課税された役員や従業員側としては源泉所得税を多く払うことになり、会社側としては過大給与分は経費にできません。
また、消費税の課税仕入れが減り、消費税を多く払う可能性があります。
結果として、給与として経理することは、金額にもよりますがトータルで余計に税金を払うことになります。渡切交際費は何にでも使えてしまいます。
そして、何に使ったかの報告を会社にする必要がない。
会社に対して領収書の提出や精算をする必要がない。
これって、結局、支給をを受けた役員や従業員が自分の好きなように、もらったお金を使えてしまうというわけです。
支給を受けた者が自由に、任意に使えるということは、実態は「給与」でしょ、と判断されてしまうのが税務の厳しさです。
「名目だけ交際費」というのは通用しないのです。
実態がどうかも税務では大事なのです。
税理士わくい
役員に対する定額の渡切交際費は全額役員給与にできる可能性も
例えば、各役員に毎月5万円の渡切交際費を支給したとします。
この支給額は、毎月同額の役員給与として取り扱われ、役員報酬の限度額を超えない限り、全額損金算入することができます。
名目は5万円の渡切交際費であったとしても、実質は毎月定額の役員給与というわけです。
こちらも名目ではなく実質で判断というわけです。
▶参考:国税庁HP「(給与等と交際費等との区分)措通61の4(1)-12」
▶参考:国税庁HP「(役員等に支給される交際費等)所通28-4」
接待交際費で落とすなら精算する
役員や従業員の給与として課税されないためには、ちゃんと会社で精算をしましょう。そうすれば給与でなく、接待交際費として経理して大丈夫です。
会社側からすれば、渡切交際費として支給するのでなく、仮払金で支給したことになります。
精算する際は、会社あての領収書を添付して報告し、過不足があれば確実に精算をします。
おつりは面倒だからいいや、みたいな感じでルーズな経理をしないでください。
いわゆる、会社員が行う一般的な交際費や旅費精算と同じ要領です。
使ったものは、しっかり領収書をもらって会社で管理し、それを証拠書類として経理をする、というのが大原則となります。
まとめ
名目が交際費であっても、渡切交際費は接待交際費として経理することができません。
報告しなかったり、精算しないものは給与として扱われます。
名目や形式も大切ですが、税務ではそれ以上に実質が重要となります。
イレギュラーな事はせず、領収書の管理と、それに基づいた経理をしていくことをオススメします。
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