「駐車場を貸しているのはでない!」と言い張っても消費税の課税対象になるケース【判例】
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔です。
税法はややこしい、中でも消費税はややこしい、そんな風に思う今日この頃です。
「駐車場としての土地の貸付」について、かなり簡単ではありますが消費税の裁判例で整理します。
全然簡単ではないと思いますが。。
ムー係長
青空駐車場の貸付は消費税の課税対象となるか?!
まず最初に裁判のポイントを私なりにまとめてしまいます。
青空駐車場の貸付けは消費税の課税対象になるか否か?!
▼以下、裁判長の結論要旨
- 今回のケースの土地の貸付けは、「駐車場」という施設の貸付け又は「車両の管理」というサービスの提供といえる。なので、単なる「土地の貸付(=非課税)」とはいえず、消費税の課税対象(=課税売上)とするのが合理的。
- 今回のケースの土地は、「駐車場」を示す看板が設置され、地面の整地、ロープ等による区割りがされている。原告は「駐車場とは屋根付きシャターや立体駐車場のことをいうんだ!」と主張するが、今回のように実態が「駐車場」であるものは、「駐車場のその他の施設の利用に伴う土地の貸付けに該当し、非課税取引とはならない(消費税法施行令8条)」
※大阪地裁平成24年4月29日
事実関係
「本件は駐車場の貸付けでなく、単に土地の貸付けだから消費税は非課税だ!」と訴えた納税者(原告)の事実関係を整理します。
- 原告は、平成15年から平成20年までの間、所有する土地をいずれも駐車場として賃貸し収入を得ていた。
- 各土地の出入り口には「駐車場とわかる」看板やフェンスが設置され、土地は駐車目的で区分けされていた。
- 土地の整備やその他修繕費を毎年経費として支出していた。
- 借りる人との契約書には、駐車場のみ利用できること、土地は一時利用地的に駐車場として賃貸するものであることが記載されていた。
- 本件土地の貸付けは、課税対象と思わなかったので消費税の申告はしなかった。
- 消費税の決定及び無申告加算税の決定処分が行われた。
争点と原告の主張
▼本件の争点
土地の貸付けが「駐車場」という施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当するか否か?!
課税庁側と原告側の主張
▼課税庁
- 駐車場その他の施設の利用に伴って土地を使用する、サービスの提供に該当する。
- つまり、今回にケースの土地の貸付けは消費税の課税取引だ!
▼原告側
- 今回のケースは、駐車場その他の施設の利用に伴って土地を使用する場合に該当しない!
- なぜなら、いくつかある駐車場のうち、B駐車場を除く3つの土地は未舗装であり、B駐車場の舗装も30年以上前に行ったもので、その価値はすでに無い。
- また、ロープなどの土地の区割りも、駐車場としての最低限の設備である消耗品だけを用いた青空駐車場といえる。
- 消費税法施行令8条にいう「施設」は全く存在しない。
判決の要旨
大阪地裁は次のように説明しています。
- そもそも消費税法上、土地が非課税である趣旨は「土地は使用や時間の経過で消耗するものでなく、消費という観念が無い。なので、消費に負担を求める税である消費税の対象から除外する」というものである。
- しかし、本件は駐車場という施設の貸付け又は車両の管理というサービスの提供について消費をしたといえるため、いわゆる非課税取引の土地の貸付けと同列で論じることはできず、消費税の課税対象とすることが合理的である。
▼結論
- ロープや白線、番号が記載されたブロック・番号札により車両が駐車するための区割りがされているなど、駐車場としての用途に応じた土地の整備がされている。
- 砂利を敷くなどの修繕費用を毎年支出していること。
- これらによれば、更地を貸付けていたのでなく、駐車場として利用するために土地を貸付けていたと認められる。
- したがって、駐車場の利用に伴って土地が使用される場合に該当するので課税対象となる。
結局何を言っている話だったのか?(整理)
簡単にいってしまうと、消費税法上、土地の貸付は非課税とされます。
なぜなら土地は減価償却ができず、消費という観念がないため、消費に負担を求める消費税の趣旨にそぐわないからです。
ただし、駐車場として土地を貸す場合には消費税は課税されます。
駐車場という施設を貸しているようなイメージです。
税理士わくい
消費税が非課税となる土地の貸付けは、更地の貸付けを意味します。
アスファルト舗装していない駐車場、いわゆる青空駐車場は形式上更地といえますが、今回の判例のように実態が駐車場と判断されれば非課税取引とされる土地の貸付けでなく、課税取引となってしまうのです。
ほんと、人による解釈の違いはこわいです。
スタッフA美
駐車場用地でも非課税となるケース
自分の貸した土地が駐車場として活用される場合でも、消費税の非課税対象となる取引があります。
例えば、地主がイオンに更地を貸して、イオン側が駐車場として整備して使用する場合です。
地主側からすれば、単に更地をイオンに貸しただけにすぎないからです。
しかし、既にコインパーキングなどで利用していた土地について、引き続き土地の上にある設備を利用しながら、今後も駐車場として利用されることを認識していた場合は非課税取引とはならないという判例もあるので注意が必要です。
最終的には実態がどうであるかに注意をはらう必要があるでしょう。
まとめ
アスファルト舗装をしていない更地(青空駐車場)でも、ロープで区割りをしていたり、駐車場とわかる看板が設置されていたりと、実態が施設の利用に伴って使用される土地の貸付けの場合は課税取引に該当するものと判断されます。
似たようなケースでも、ちょっとした事実関係の違いで課税か非課税かが変わることもあります。
形式的な部分だけで判断せず、正直グレーかなと思ったら専門家に相談しましょう。
税理士わくい
めっちゃ肩がこる話でした。
インターンけろ吉
税理士 涌井大輔事務所は夢を持って創業される経営者様を応援しています!
今日もご覧いただきありがとうございました。
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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