法人が「倒産防止共済」の掛金を損金算入するなら別表を作成する!個人事業主が必要経費にするなら明細書の添付が必要!
群馬県太田市のワリとフランクな税理士わくいです。
前回記事では「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ)は掛金を全額経費にできる」をお伝えいたしました。
中小企業倒産防止共済は、貯蓄をしながら掛金を経費扱いにできる、中小事業者のミカタの制度です。法人だけでなく、個人事業主に活用できるのもポイントですね。
そんな決算対策として使われる経営セーフティですが、「この書類を提出しないと経費化が認められない」、という注意点があります。
法人が提出しなくてはならないもの、個人事業主が提出しなくてはならないもの、それぞれみていきましょう。
中小企業倒産防止共済の添付書類(法人)
法人の場合には、決算書や通常の税務申告書類に加えて下記の書類の添付が必要となります。
- 別表10(6)
- 適用額明細書
別表10(6)
「Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」の「23~27」に記入していきます。
- 23「基金に係る法人名」⇒独立行政法人中小企業基盤整備機構
- 24「基金の名義」⇒中小企業倒産防止共済
- 25「告示番号」⇒未記入でOK!
- 26「当期に支出した負担金等の額」⇒掛金の支出金額
- 27「同上のうち損金の額に算入した金額」⇒掛金の支出金額
特段難しいことはないですね!
にゅーみ
明細書の添付がないと掛金の損金算入ができないので注意が必要です!
税理士わくい
適用額明細書
- 租税特別措置法の条項⇒第66条の11第1項
- 区分番号⇒00374
- 適用額⇒掛金の支出金額(別表10(6)の金額と一致)
別表10(6)と適用額明細書はセットで提出しましょう!
税理士わくい
中小企業倒産防止共済の添付書類(個人事業主)
個人の場合には、「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を作成し、確定申告書に添付します。 定型の様式はないため、上記の様式例をもとに作成しましょう。 参考:中小機構「経営セーフティ」
決算書に添付し忘れた場合はどうなる!?
過去には、「別表の添付漏れ及び適用額明細書への記載漏れを理由に、中小企業倒産防止共済掛金の損金算入が認められなかった」事例があります。
この事例では、税務調査で掛金の損金算入が認められず、過大納付税額が発生したとして税理士が損害賠償請求を受けました。
(涌井税理士事務所の事例ではないですよ!)
《賠償請求の経緯》
- 平成X7年10月 中小企業倒産防止共済の加入について相談を受ける。
- 平成X8年9月 中小企業倒産防止共済掛金の全額を経費計上。
- 平成X8年11月 平成X8年9月期の法人税の申告書提出(別表10(6)の添付漏れ及び適用額明細書への記載漏れ)。
- 平成X9年4月 税務調査で別表10(6)の添付漏れ等を理由に中小企業倒産防止共済掛金の損金算入を否認される。
- 平成X9年5月 平成X8年9月期の法人税の修正申告書を提出。依頼者より損害賠償請求を受ける。
「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例(措法66の11)」として、倒産防止共済の損金経理が認められています。
この添付書類が無い場合は、原則「適用しない」と法律で決められているのです。
適用額明細書についても、添付がない場合は法人税関係特別措置の「適用はないものとする」とされています。
税務調査後、交渉次第で例外的に損金算入が認められる可能性もありますが、原則「添付書類が無ければ認められない」と覚えておきましょう。
マックス800万円の経費化が認められないことに!?
インターンけろ吉
自力で決算しているなら税理士に即相談しよう!
中小企業倒産防止共済を活用するような企業で、現在自力で決算をしているなら、即税理士に相談することをオススメします。
中小企業が使える税制上の特典については、適用するためには「別表の作成」や「適用額明細書の作成」が必要なケースが多いのです。
どのような場合に、どのような書類の添付が必要なのか、を判断するのは労力を要します。
今後、利益が増えてきそうだ! 節税対策が必要だ! その時期にきているのなら、迷わず税理士に相談することをオススメします!
その際は、涌井大輔税理士事務所をよろしくお願い致します!
税理士わくい
まとめ
租税特別措置法の第66条の11で、 「確定申告書等に同項に規定する金額の損金算入に関する明細書の添付がない場合には、適用しない」と明記されています。
中小企業倒産防止共済の掛金を損金算入する場合には、「別表10(6)」と「適用額明細書」の添付を忘れないよう、ご注意ください。
税理士 涌井大輔事務所は夢を持って創業される経営者様を応援しています! 今日もご覧いただきありがとうございました。群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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