「繰延資産」を詳しく教えて!償却方法、償却期間を税理士が詳しく解説します!
群馬県太田市のワリとフランクな税理士わくいです。
どうでもいい話ですが、
ワリとフランクな税理士から「ボヘミアン税理士」に屋号を変えようか迷っています。
税理士わくい
これに関し、ご意見がある方ご連絡お待ちしております。
さて、今日の本題「繰延資産」に戻します。
繰延資産って何となく聞いたことがあるけど、いまいち、どのような資産かわからない。
そのような人も多いかと思います。
それもそのはず、事業をやらない限り、触れることのない資産だからです。
今回は、迷える事業者のために「繰延資産」について税理士が丁寧に解説いたします。
「繰延資産」は資産であって資産でない!?
繰延資産とは、
今期に支出した費用を翌期以降に繰り延べる経過勘定項目です!
税理士的ムー係長
おーっ、なるほどですね!
(??全く意味がわからない)
起業家さや
「繰延資産」は資産という名はつくものの、実体があるものではありません。
詳細は後述しますが、繰延資産の代表例である「開業費」をイメージしてください。
開業費は、開業前までの事業に関する支出の合計のことをいいます。
(消耗品費や広告費、旅費交通費、接待交際費といったような支出)
開業前までに支出した開業費は、事業の経費とすることができますが、会計上はいったん全額「資産」として経理するルールがあります。
つまり、開業費のような「繰延資産」は、いずれ経費とすることができる支出だけど、いったんは「資産」として固定資産台帳と貸借対照表に記載するというルールがあるのです。
言い換えれば、繰延資産は「将来費用化できる数字」を表しており、全額費用にすることができる資産ということができます。
繰延資産は、費用にできるんだけど、
ワンクッション「資産」にのっけたものということですね!
にゅーみ
とりあえず繰延資産に計上する理由
結局費用にできるんなら、
なんでわざわざ資産にのっけるのよ。
起業家B吉
ナイスな質問ですね。
税理士わくい
たしかに、「何でわざわざ繰延資産として資産計上しなくてはいけないのか」、という疑問がわいてきますね。
費用の中には、その効果が支出した期だけでなく、数年に渡るものがあります。
例えば、「車両」がいい例ですね。
300万円の新車のプリウスを購入した場合、購入した年に300万円を一気に経費化することはできません。
減価償却により、定額法であれば毎年50万円ずつ経費化することになります(300万円÷法定耐用年数6年)。
一般的に、車や建物といった固定資産は数年に渡って事業に貢献するというのはイメージできるかと思います。
新車のプリウスを買ったら6年くらいは、まー乗るよね、というのが法定耐用年数です。
繰延資産も、これまでの事業支出を将来にわたって減価償却をする固定資産と同じようなイメージです。
繰延資産は経費化できるんだけど、まずは資産計上して、適切な期間で費用化するのが好ましいというのが基本的な考えとなっています。
「資産計上=固定資産台帳に記載」
と覚えておくといいですね!
インターンけろ吉
繰延資産の種類
繰延資産には「会社法上」と「税法上」のものがありますが、いずれにせよ一旦は「繰延資産」として資産計上することには変わりません。
なので、ここでは「会社法上」と「税法上」の細かい説明はあえてしません。
繰延資産に該当する主な支出は次のものと覚えておいてください。
- 創立費…会社設立費用(定款作成や登記など)
- 開業費…事業を開始するまでに支出したもの
(個人・法人問わず発生するもの) - 不動産賃借時の権利金、礼金
- フランチャイズの加盟金
- ビジネスノウハウ使用料や権利金
- 同業者団体に払う加盟金
他にも、こういった繰延資産もあります。
- 公共的、共同的施設の設置・改良費用
(商店街のアーケードなど) - 広告宣伝用資産の贈与費用
(飲食店の宣伝用ショーケースなど) - 株式交付費…新株発行等の費用
- 社債発行費…社債を発行費用
- 開発費…新技術や新市場の開拓費用
繰延資産の償却期間
どういうものが繰延資産に該当するか、わかったところで、主な繰延資産の償却期間をみていきたいと思います。
- 創立費・開業費…5年or任意償却も可
- ビジネスノウハウ使用料や権利金…5年
- 同業者団体に払う加盟金…5年
開業費については、会社法上5年で均等償却となっていますが、税法上は「任意償却」OKとなります。
任意償却とは何ぞや。。
にゅーみ
つまり、50万円の開業費なら5年均等で10万円/年を費用化してもよし。
開業初年度に50万円全額費用化してもよし。
開業初年度は赤字だから償却ゼロにしてもよし。
(その場合は、繰延資産50万円が期末の固定資産台帳と貸借対照表に記載される)
黒字になった年に都合よく償却してもよし。
といったように、開業費はフレキシブルな創業者特例の無形の減価償却資産だと思ってください。
青色申告特別控除後の所得とにらめっこして、開業費の償却額を決める、
なんてこともできちゃいますね!
税理士わくい
まとめ
繰延資産と聞くと、ややこしく思うかもしれません。
ですが、繰延資産でよく出てくるものは、
- 個人事業主…開業費
- 法人…創立費と開業費
くらいです。
あとは事業によって同業者団体の加盟金やノウハウとなります。
もし、繰延資産に該当するものが出てきたら、一気に費用化せず、まずは固定資産台帳に記載しましょう。
そして、翌期以降に繰り越す繰延資産がある場合は、期末貸借対照表にも記載しましょう。
レッツ、トライ!
税理士わくい
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今日もご覧いただきありがとうございました。
群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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