お金をかけずに使える節税策!いわゆるシングルマザー(ファーザー)の方が使える所得控除「寡婦・寡夫控除」の判定はこれで完璧!
「寡婦(寡夫)控除」は聞きなれない言葉かもしれませんが、知ると知らないとでは確定申告の税金計算に大きな影響が出てきます。
寡婦・寡夫控除は、いわゆるシングルマザー(ファーザー)の方が使える所得控除で、税金を安くすることができます。
とはいっても全てのシングルの方が使えるわけではなく、シングルとなった原因や家族状況、所得によって要件が異なるので注意が必要です。
寡婦・寡夫控除とは
「寡婦・寡夫」とは、配偶者と死別・離婚し、その後再婚していない独身者のことをいいます。
いわゆるシングルの方となります。
一昔でいうところの未亡人も寡婦にあたります。
意外と知られていないのですが、このようにシングルの方が一定の要件に該当すると、税制上有利となる「寡婦(寡夫)控除」という所得控除が使え、税金を安くすることができるのです。
私は仕事柄、確定申告時期になると色んな場所の確定申告相談会に出張に行くのですが、確定申告書をチェックしていて、子供の扶養はしているけど配偶者控除欄に名前が無かったりすると、
奥さんお給料いくらくらいですか?
税理士わくい
といった感じで、遠まわしにさりげなくシングルかどうかの状況を確認することがあります。
相談会でお会いする方は初めて顔を合わせる方ですし、寡婦(寡夫)控除なるものがある、なんて知らないことも少なくありません。
納税者の方が少しでも有利になるように、シングルかどうか、寡婦(寡夫)控除が使えるかどうかをさりげなく探りを入れることもあります。
さてさて、いわゆるシングルの方が使える寡婦(寡夫)控除ですが、
- シングルとなった原因が離婚か死別か
- 扶養する親族がいるかいないか
- 所得がいくらか
など状況によって控除額が変わったり、そもそも寡婦・寡夫控除が使えない場合もあるのです。
寡婦控除額の判定(シングルマザー)
特定の要件に該当する寡婦は所得金額から27万円又は35万円を差し引くことができます。 「離婚の場合」と「死別」の場合で判定方法が異なります。ここからちょっと細かい話になりますが、具体的な判定方法をみていきましょう。
離婚の場合(寡婦)
- 夫と離婚してから結婚していない人
- かつ扶養親族又は生計を同じにする所得金額が38万円以下の子供がいる
⇒控除額27万円
- 夫と離婚してから結婚していない人
- かつ扶養親族である子供がいる
- かつ合計所得金額が500円以下
⇒控除額35万円(特定の寡婦)
子供を養っていて、高所得者でないシングルマザーは控除額が手厚くなります。
税理士わくい
- 夫と離婚してから結婚していない人
- だけど扶養親族も生計を同じにする子供もいない(つまり完全独り身)
⇒適用なし(控除額ゼロ)
いわゆる「未婚の母」の場合は寡婦控除が使えません。
寡婦は結婚してから離婚又は死別などが要件となります。
仮に認知された子供がいても、残念ながら婚姻したことがなければ寡婦とはならないのです。
死別の場合(寡婦)
- 夫が亡くなってから結婚していない(生死不明含む)
- かつ扶養親族又は生計が同じ所得金額が38万円以下の子供がいる
- かつ合計所得金額が500万円以下
⇒控除額27万円
- 夫が亡くなってから結婚していない(生死不明含む)
- かつ扶養親族である子供がいない
- かつ合計所得金額が500円以下
⇒控除額27万円
- 夫が亡くなってから結婚していない(生死不明含む)
- かつ扶養親族である子供がいる
- かつ合計所得金額が500円以下
⇒控除額35万円(特定の寡婦)
所得金額が500万円以下で扶養親族である子がいる場合は、離婚・死別を問わず35万円控除(特定の寡婦)が使えるということですね!
にゅーみ
- 夫が亡くなってから結婚していない(生死不明含む)
- かつ扶養親族も所得38万円以下の子供もいない
- かつ合計所得金額が500円超えている
⇒適用なし(控除額ゼロ)
死別の場合はまず所得が500万円以下かどうかをみます。
所得が500万円超える場合は、扶養親族又は所得38万円以下の子供がいないと寡婦控除は使えません。
所得が500万円超えでも、扶養親族又は所得38万円以下の子供がいれば寡婦控除が使えます。
所得が500万円以下なら、扶養親族や子供がいなくても寡婦控除(又は特定の寡婦)が使えます。
寡夫控除額の判定(シングルファーザー)
男性版となる寡夫控除は、女性版に比べ要件が厳しくなっており、「27万円控除」or「適用なし」となります。次の全ての要件に該当して初めて27万円控除が使えます。
- 妻との離婚・死別(生死不明含む)から結婚をしていない
- かつ生計を同じにする所得38万円以下の子供がいる
- かつ合計所得が500万円以下
例えば、妻と死別し合計所得が500万円以下であったとしても、生計を同じにする子供いない場合は寡夫控除が使えません。
税理士わくい
扶養する両親がいても寡夫控除は使えないということですね。
起業家さや
ただし!
離婚後、元妻に引き取られた子の養育費を支払っている場合は、その子供は元夫が「生計を一にしている親族」として扶養控除の対象となり、さらに元夫の所得が500万円以下なら寡夫控除を使えることができます!
税理士わくい
寡婦・寡夫控除の実務間違えあるある
寡婦・寡夫控除のよくある間違えチェックポイントです!
一気にみていきましょう!
寡婦控除(シングルマザー)
- 離婚後に扶養親族がいないのに寡婦控除を使っている
⇒離婚を原因とした場合は扶養親族又は生計を同じにする所得38万円以下の子供がいないと寡婦控除は使えません
- 所得が500万円超で、死別で扶養親族がいない人が寡婦控除を使っている
⇒死別で扶養親族いない場合は、所得が500万円超えると寡婦控除は使えません
- 離婚後、元夫が子供の養育費を払い、元夫がその子を扶養控除の対象としている
⇒子供と同居していても、「生計を一にする子供(元夫が事実上養っておらず、元夫がその子を扶養の対象としていない状態)」がいないと寡婦控除は使えません
- 子供が扶養控除の対象ではない(16歳未満の年少扶養親族)、だから特定の寡婦控除は使っていない
⇒いえいえ、子供が扶養控除の対象かどうかは関係ありません!特定の寡婦は扶養親族である子がいればOKです!
- 未婚の母(シングルマザー)が寡婦控除を使っている
⇒残念ながら、寡婦控除は「婚姻⇒離婚・死別⇒以後婚姻をしていない」状態でないと使えず、仮に子供が認知されていたとしても使うことができないのです
寡夫控除(シングルファーザー)
- 合計所得が500万円超えているけど寡夫控除を使っている
⇒所得500万円超えの場合、寡夫控除は使えません
- 子供ではなく父母を扶養している人が寡夫控除を使っている
⇒寡夫控除は、扶養親族ではなく子供を扶養していないと使えません
- 離婚後、元妻に引き取られた子の養育費を支払っているが寡夫控除を使っていない
⇒この場合、所得が500万円以下であれば、元妻が子を育てているとしても「生計を一にしている親族」に該当して寡夫控除と扶養控除を使うことができます
- 寡夫控除と配偶者控除の二重控除は使えないと思っている
⇒妻の死亡時に所得要件を満たしていれば配偶者控除が使え、かつ寡夫の要件を満たしていれば寡夫控除のダブル控除が使えます(奥さんが亡くなった年だけ)
ちなみに、所得38万円以下の生計を一にする子」の中には、事業専従者も含めていいことになっています。
税理士わくい
まとめ
いわゆるシングルの方だからといって、全て寡婦・寡夫控除が使えるというわけではありません。
寡婦・寡夫となった原因が死別か離婚か、扶養の有無、所得金額によっても控除額が異なってきます。
知っていると知らないとでは節税に大きく影響が出る所得控除でもあります。
ご自身が該当するかどうか、確定申告書を提出する前に今一度チェックすることをオススメします。
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群馬県太田市の【ワリとフランクな税理士】涌井大輔でした。
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