法人設立時の事業年度の決め方とは?5つのポイントを詳しく解説します!
群馬県太田市のワリとフランクな税理士わくいです。
中小法人、個人事業主の夢と成功を支援する特化型税理士です。
事業年度は、会社の決算期間を区切る期間をいいます。
事業年度は、会社設立時に定款で定めますが、そもそも事業年度をどのように決めればいいのか、事業年度の決め方とポイントを解説いたします。
事業年度とは
事業年度とは、決算書類を作成する対象となる一定の期間のことをいいます。
法人は、会社の事業年度終了時点での資産負債などの財政状態、一定期間の経営成績を確定するために、事業年度ごとに決算を行う必要があります。
決算を行う事業年度の最後の月を決算期と呼び、この期間に決算報告書が作成されます。
定款への事業年度の記載は任意なので、必須の記載事項ではありません。
しかし、決算や法人税申告書を作成する関係上、定款に事業年度を記載しない場合には、設立から2ヶ月以内に所轄の税務署長へ事業年度を届け出る必要があります。
事業年度は、個人事業主と法人では異なり、法人の場合は自由に決められます。
法人の場合、会社設立登記をした日を事業年度開始日といい、開始日から1年以内を事業年度として設定します。
一般的には、事業年度を1年と設定することが多いです。
税理士わくい
例:2022年.4月15日に法人設立登記した場合
(事業年度は1年以内に設定)
第1期目の事業年度:2022年04月15日~2023年03月31日
第2期目の事業年度:2023年04月01日~2024年03月31日
ちなみに、個人事業主の事業年度は1月1日~12月31日までの1年間と決められています。
個人事業主は事業年度を自由に設定できません。
スタッフA美
事業年度を決めるときの5つのポイント
法人の事業年度は、基本的に1年を超えない範囲であれば自由に決められます。
1年ぴったりでなくても、何カ月で設定しても問題はありません。
事業年度は1年以内であれば任意に決められますが、決算期をいつにするかが重要だったりします。
では、具体的に、どのように決めるのがいいのでしょうか。
事業年度を決めるときの5つのポイントをご紹介します。
1.資金繰りサイクルを考慮する
事業を行っていれば、毎月安定した売上が発生しないこともあるでしょう。
会社や業種によっては、繁忙期に1年の多くの売上を稼ぎ、閑散期は固定費を維持するのもやっと、ということもあります。
決算終了(事業年度終了日)の2ヶ月後には法人税・消費税などの税金を納めなければなりません。
決算月が3月なら、法人税等の申告と納付は5月31日が期限となります。
税理士わくい
入金が少ない月や支払が多い月と、納税月がぶつかってしまうと、資金繰りが苦しくなり事業活動に影響を及ぼすかもしれません。
資金繰りが悪化しそうな時期と、決算月がなるべくぶつからないよう検討することが大切です。
そのため、資金繰りの観点から以下の点を考慮して決算月を決めるのもよいでしょう。
・売上入金が落ち込む時期を避ける
・支払が多くなる時期を避ける
2.法人税や消費税の納付時期を考慮する
法人税や消費税の納付期限は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
決算月が3月の場合、5月31日が納付期限となります。
この時に、資金が不足していると、資金繰りが圧迫され本業の活動に大きな影響が及ぶことも少なくありません。
もし、売上げの増減が見込める場合は、法人税や消費税の納付時期と、資金が増える時期を合わせて決算月を設定してもいいでしょう。
さきほどお伝えした「資金繰りのサイクルを考慮する」とかぶる話になりますが、起業時は本業の資金繰りサイクルは考慮できても、税金の納付サイクルは忘れがちになりますね。
税理士わくい
3.繁忙期を避ける
決算期は経理や決算業務の負担が増えます。
事業の繁忙期と決算期が重なると、事業活動や納税額にも影響する可能性があります。
・事業活動が疎かになる
決算業務は、商品・製品・材料などの棚卸作業や、決算整理、決算書や内訳書の作成など、通常の経理とは異なる多くの業務を行います。
決算業務と事業の繁忙期が重なると、経理や決算業務の担当者の仕事量が増えて、本業の事業活動に影響が及ぶこともあります。
・節税対策がしにくくなる
節税対策は決算に向けて、前もって検討しておく必要があります。
決算期と繁忙期が重なると、節税対策の十分な検討がしくくなるでしょう。
・納税額の予測が立てにくい
繁忙期は売上や利益が上がる時期ですが、一方で利益変動が起きやすくなります。
決算期と繁忙期が重なると、利益予想がしにくくなり、法人税や消費税の見込額の増減が起こりやすくなります。
納税予測の精度を上げるためにも、決算期と繁忙期をずらす。
これも決算期を検討する際の、ひとつの考え方です。
逆に、会社全体の士気を高めるため、あえて決算期と繁忙期を重ねるケースもありますね。
ムー係長
4.最初の事業年度末は会社設立日からできるだけ離す
会社設立初年度は、事業が軌道に乗るまで、いろいろと忙しくなると思います。
会社設立からすぐに決算期になると、事業の忙しさと決算の忙しさが重なるケースもあります。
会社設立日と最初の決算期が近いと、すぐに決算が到来してしまい、慌ただしい中で決算手続きを行うことになります。
事業年度は、会社の設立日から1年以内であれば自由に設定できます。
5.役員報酬の決定時期を考慮する
役員報酬は、事業年度の開始日(初年度は会社設立日)から3カ月以内に金額を確定します。
役員報酬には毎月定額を支払う定期同額給与、事前に支払う時期を決める事前確定届出給与、業績に連動して報酬を支払う業績連動給与の3つの支払方法があります。
毎月一定額を役員報酬として支給する定期同額給与が一般的な支給方法となります。
税理士わくい
基本的に、役員報酬額は決定すると次の決算後まで変更できません。
そのため、利益予想を立てて、逆算して事業年度終了までの役員報酬額を検討する必要があります。
まとめ
会社の事業年度(決算期)の決定方法5つのポイントをお伝えしました。
決算期の決定に正解はありません。
事業の資金繰りサイクル、繁忙期、会社の方針など、いろいろ考慮したうえで決算月を検討しましょう。
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税理士わくい
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スタッフA美
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ムー係長
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