「中小企業の会計に関する指針に基づく決算書」について

「中小企業の会計に関する指針」とは

「中小企業の会計に関する指針」は日本税理士会連合会や日本公認会計士協会等が、中小企業が決算書類を作成する上で、一定の基準に準拠したほうが望ましい会計処理などを示したものです。

法人は「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従う(会社法431条)」という規定に基づき決算書類を作成します。しかし、この企業会計の基準は大企業向けの基準であり、中小企業がその会計基準を適用しようとすると、かなりの手間やコストがかかるため、実務上は、法人税の基準に合わせた決算書が作成されることが慣習となっていました。

実際の耐用年数とは異なるけど、減価償却費を法定耐用年数で計上するといったケースも法人税法の基準に合わせた例です。

しかし、法人税の基準とはあくまでも税金を計算するための基準であり、必ずしも企業の財務状況や経営成績を正しく表現できるものではありません。

そこで、中小企業が決算書を作成するに当たって、より決算書の信用力を高め、的確な経営判断をが可能となる会計基準を明らかにするものとして「中小企業の会計に関する指針」が作成されました。

中小企業の会計に関する指針」の対象会社とは?

中小企業の会計に関する指針の対象は、次の2つを除いた株式会社になります。

  • 金融商品取引法の適用を受ける会社(上場会社など)とその子会社、関連会社
  • 会計監査人を設置する会社(資本金5億円以上、又は負債200億円以上の大会社など)とその子会社

ざっくりいうと、大半の中小企業が対象となるわけです。

また、株式会社だけでなく、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社などの会社についても中小会計指針に準拠することが推奨されています。

指針の具体的な内容

『中小企業会計指針』に関して、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」というチェックリストがあります。このリストには約60項目のチェック事項があり、そのチェック事項に該当する項目が自社の会計処理であるかどうか、ある場合は『中小企業会計指針』に沿った処理をしているかどうかをチェックします。

このリストには税理士が署名・押印する欄があり、「指針」の適用を税理士側からもチェックするようになっています。
たとえば、預貯金については「残高証明書または預金通帳等により残高を確認したか」という確認事項です。

その他金銭債権、有価証券、金銭債務等の貸借対照表項目があり、会社法で新たに義務づけられた株主資本変動計算書や個別注記表に関する項目もあります。

なお、このチェックリストで「指針」に沿った処理をしていない場合、その理由を記載しなければいけません。

⇒チェックリストに関する参考HP

「中小企業会計指針」を適用するメリット

メリットは主に3つあります。

  1. 融資条件の優遇
  2. 決算書の信頼性アップ
  3. 財務分析の精度向上

1つめのメリットは、前項のチェックリストに関するものです。このチェックリストを融資申込み時に添付することで、信用保証協会の保証料率が優遇されるといったメリットがあります。また金融機関によっては、このチェックリストによる優遇商品を取り扱っています。

2つめのメリットとしては、本来の目的である信頼性の高い決算書作成の基準となるということです。

最後のメリットとしては、自社の経営実態を正確に把握することができることが挙げられます。実務上は、法人税法の基準に沿った会計処理がされている場合がほとんどです。しかし、会社の経営に活かす決算書を作成しなければ、税務申告のためだけに決算書の作成や日々の経理業務を行なっていることになります。

単に税務申告のために決算をするのでなく、 決算書を会社の経営に活かすためにも「指針」に準拠した会計処理をすることも検討する必要があります。

まとめ

決算書を経営に活かすことができ、社会的信頼性をより高めるためには、日々の正しい経理の積み重ねが大切です。
毎日行なっている経理業務(会計ソフト入力、資料作成・整理など)が、経営、税務申告、融資などさまざまな物事につながっていることを意識していただきたいところです。

その上で、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を、日々の経理業務及び決算書作成のチェックに使用してみてはいかがでしょうか。

 

 

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